相続・資産税コラム
預金の管理の方法は家庭によって様々です。弊社に相談にいらっしゃるお客様の中にも、夫婦で明確に財産を分けている家庭もあれば、そうでない家庭もあります。
相続が発生した場合、当然被相続人の財産を評価する必要がありますが、夫婦間で財産が入り乱れていると、申告がスムーズに進まない可能性が高いので、前もってお互いの財産を明確にしておく必要があるでしょう。
特に、妻が専業主婦である夫婦の場合は、名義預金について注意が必要です。
たとえ名義が妻であったとしても、実質的に夫の預金であれば、それは名義預金として、申告する必要があるからです。
そして、この名義預金の判定で一般的に用いられる要件は、財源・管理・支配です。その財産の基となった財源は何か、その財産を管理していたのは誰か、その財産を支配していたのは誰か、以上を総合的に判断して、名義預金の判定をします。
この中でも、財源が夫の場合は、名義預金として計上すると考えた方が良いでしょう。逆に、妻が財源と思われる財産の場合は、きちんと自身で管理・支配された方がより無難となります。
例えば、相続発生時に専業主婦である妻に数千万円の現預金があった場合を考えてみましょう。専業主婦の場合、実質的な収入はありませんので、夫の給与等をコツコツへそくりのような形で貯めたとしても、それは夫である被相続人の財産として計上することとなります。
しかしながら、以下の場合のように、明らかに妻固有の財産と考えられるものは、夫の財産として計上する必要はございません。
1、妻の両親の相続などで、妻が取得した場合
2、結婚前勤めていた時の貯金
3、結婚式のご祝儀
妻に不利な税制に感じるかもしれませんが、その分、妻には「配偶者の税額の軽減」という措置がとられ、法定相続分相当額、または1億6千万円のいずれか多い金額までは、相続税がかかりませんので、当然かもしれません。